※本記事は、運用型広告の支援を行う株式会社シンビが、自社の見解として作成しています。Google広告を中心に、2026年10月2日時点のGoogle広告ヘルプにもとづいて説明します。
この記事のポイント
結論:代理店は、手数料率より先に「成約率や粗利など、管理画面の外の数字まで一緒に見てくれるか」で選ぶことをおすすめします。乗り換えは次の4つの順で進めます。
- 今の代理店を変えるべきかを判断する
- 候補の代理店を7つの質問で見極める
- 手数料は「総額」と「損益分岐」で比べる
- 成果を落とさずに移行する
手順1:今の代理店を変えるべきかを判断する
CPAが高い月が続くと、すぐに代理店を変えたくなります。CPAとは、コンバージョン1件あたりの広告費です。ただ、乗り換えには引き継ぎの手間がかかります。
その前に、今の代理店と次の3つを確認してみてください。
- CPAが上がった原因の説明があるか
- その原因に対する具体的な改善策が出ているか
- 改善策を実行した結果の振り返りがあるか
3つがそろっているなら、成果が出るまで少し待つ価値があります。そろわない状態が2〜3か月続くなら、ほかの会社の意見を聞いてみる時期だと私たちは考えています。
原因の説明が妥当かは、CPAを2つに分けて確かめる
CPAは「クリック単価 ÷ コンバージョン率」で決まります。コンバージョン率は、クリックした人のうちコンバージョンした割合です。どちらが動いたかで、打つ手が変わります。
| 動いた指標 | 疑うところ |
|---|---|
| クリック単価が上がった | 競合や入札の強さ |
| コンバージョン率が下がった | LP、検索語句、フォーム |
今の代理店の説明が「CPAが悪化しました」で止まり、どちらから来たかが書かれていないなら、それ自体が見直しのサインです。
手順2:候補の代理店を7つの質問で見極める
候補の代理店との商談で、そのまま使える質問です。どんな答えが返ってくれば安心かの目安を添えました。
7つの質問と、答えの目安
| 質問 | 良い答えの例 | 注意したい答え |
|---|---|---|
| 1.「成約率や粗利は、どこまで共有すればよいですか?」 | 成約率と粗利を逆に質問し、許容CPAを一緒に決めようとする | 「目標CPAだけ決めていただければ大丈夫です」 |
| 2.「今のコンバージョンの計測方法に、問題がないか見てもらえますか?」 | 今の定義を確認し、商談や受注のデータを広告に戻す方法を提案する | 計測の話が出ず、「キーワードと広告文を見直します」で終わる |
| 3.「実際のレポートのサンプルを見せてもらえますか?」 | 数字が動いた理由の仮説、前月の振り返り、翌月にやることと理由がある | サンプルを出せない。「引き続き改善に努めます」とだけ書いてある |
| 4.「LPやバナーの改善提案は含まれますか? 別料金ですか?」 | どこを・なぜ変えるかまで提案し、料金に含むかも明確に答える | 「LPは御社の担当なので」と、提案の範囲から外す |
| 5.「検索語句は、どのくらいの頻度で確認していますか?」 | 確認の頻度と、そこから何をするかを具体例つきで答える | 「自動で最適化されるので」と、頻度を答えられない |
| 6.「検索広告のほかに、うちに合いそうな施策はありますか?」 | 事業全体の広告費と件数を見て、配分の考え方を説明する | 得意な1つの媒体だけを勧め、理由が説明されない |
| 7.「実際に運用するのはどなたで、何件くらい担当していますか?」 | 運用担当者が同席するか紹介される。担当件数と引き継ぎ方法を答える | 「担当は契約後に決まります」とだけ答え、体制を説明しない |
許容CPAとは、1件にいくらまで広告費を使えるかの金額です。成約率と1件あたりの粗利から決めます。
質問1・2:なぜ成約と計測を先に聞くのか
コンバージョンとは、問い合わせや申込などの成果のことです。その数だけを目標にすると、「安く取れるが成約しない問い合わせ」ばかり増えることがあります。
Google広告のスマート自動入札は、コンバージョン数やコンバージョン値を最適化する入札戦略です。つまり、何をコンバージョンとして数えるかが、そのまま入札の目標になります。
フォームの送信をすべて同じ1件として数えていると、成約しにくい問い合わせも同じ価値として扱われます。問い合わせの後に商談や受注がある商材では、受注などのデータを広告に戻す方法があります。
質問4:LPの改善で、CPAはどれだけ変わるか
クリック単価が500円のとき、コンバージョン率が1.0%ならCPAは50,000円、1.5%なら約33,333円です。この例では、LPの改善だけでCPAが約3分の2になります。
LPとは、広告をクリックした人が最初に見るページです。管理画面の操作だけでは届かない部分なので、提案の範囲に入るかを確かめます。
質問5〜7:運用の中身と体制を聞く
- 質問5:登録したキーワードと、実際に検索された語句は一致しないことがあります。予算の大きいアカウントほど頻繁に見るべきだと私たちは考えています
- 質問6:検索広告は届く人数に限りがあります。増やしにくくなったら、Yahoo!広告への配分や、Meta広告・TikTok広告などが選択肢になります
- 質問7:商談で答えた人と、契約後に運用する人が違うことがあります。担当件数が多すぎれば、検索語句の確認や分析に時間をかけられません
手順3:手数料は「総額」と「損益分岐」で比べる
料金の決め方は、広告費に対する料率、固定の月額、両者の組み合わせなど、代理店によって違います。料率が同じでも、次の条件で実際の支払いは大きく変わります。
- 最低手数料や、初期費用があるか
- LPの改善、バナーや動画の制作が料金に含まれるか
- 契約期間の縛りと、解約の条件
見積もりを比べるときは、同じ広告費を前提にした総額で並べてください。
手数料の差は「何件増えれば取り戻せるか」に置き換える
手数料が高い代理店のほうが成果が出る、とは限りません。安い代理店のほうが得だとも限りません。そこで、手数料の差を件数に置き換えます。
取り戻すのに必要な件数 = 手数料の差 ÷ 1件あたりの粗利
手数料の差を取り戻すのに必要な件数(架空の数字)
| 前提 | 月の広告費300万円、CPA3万円(月100件)、1件の粗利5万円 |
|---|---|
| 手数料の差 | A社(料率15%)は月45万円、B社(料率20%)は月60万円。差は月15万円 |
| 必要な件数 | 15万円 ÷ 粗利5万円 = 月3件 |
| CPAに置き換えると | 同じ広告費で103件。CPAが約29,126円(約3%の改善)になれば差がなくなる |
この例なら、「B社に頼むと、A社よりCPAが3%以上良くなりそうか」を考えればよいことになります。7つの質問で聞いた答えが、その判断材料です。
手順4:成果を落とさずに移行する
代理店を決めた後も、移行の進め方によって、最初の数か月の成果が大きく変わります。確かめることは3つです。
| 確かめること | 理由 |
|---|---|
| 広告アカウントの所有者はどちらか | 代理店の名義だと、解約後のアカウントやデータの扱いは契約の内容による |
| 自社に管理者の権限があるか | 代理店と連絡が取れなくなると、計測タグなどの管理が止まるおそれがある |
| いつ・何を基準に評価するか | 入札戦略を変えると、自動入札が新しい設定に慣れるまで時間がかかる |
広告アカウントは、自社の名義のものを使い続ける
契約の前に「広告アカウントの所有者はどちらか」「解約したときにアカウントはどうなるか」を必ず確認してください。
同じアカウントを使い続けることには、自動入札の面でも利点があります。Googleは、以前のキャンペーンのコンバージョン データを使うと、最初の学習期間が短くなると説明しています。
管理者の権限も自社に残します。Googleも、管理者が1人しかいないアカウントには、少なくとももう1人追加することを勧めています。
自社の担当者を管理者にしておけば、代理店を変えるときも、自社の側で新しい代理店にアクセス権を渡せます。
新しい代理店の評価は、学習期間を過ぎてから
学習期間とは、自動入札が新しい設定に合わせて入札を調整している期間です。入札戦略を変えると、管理画面のステータスが「学習中」になります。
Googleのヘルプによると、新しい目標に合わせて調整されるまでに、数回のコンバージョン サイクル分かかることがあります。コンバージョン サイクルとは、クリックからコンバージョンまでの期間です。
最初の数週間の数字だけで良し悪しを決めないでください。「いつ・何を基準に評価するか」を、契約の時点で新しい代理店と決めておくことをおすすめします。
今の代理店から引き継いでおきたいもの
- コンバージョンの定義と、計測タグの設置場所
- 除外キーワードの一覧と、除外した理由
- これまでに試した施策と、その結果(うまくいかなかったものも含む)
- 過去のレポート
関連記事:自動入札の学習期間(学習期間の長さと、評価する期間の決め方)
「Google Partner」のバッジは、どこまで判断材料になるか
代理店のサイトでよく見る「Google Partner」のバッジには、Googleが定めた要件があります。主に次の3つです。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 実績 | 登録しているMCCアカウントで、最低70%の最適化スコアを達成している |
| ご利用額 | 管理するアカウント全体の、過去90日間の広告費が常に10,000米ドルを超えている |
| 認定資格 | アカウント マネージャーの50%以上が、Google広告の認定資格を取得している |
MCCアカウントとは、複数の広告アカウントをまとめて管理するアカウントです。
バッジは「一定の規模でGoogle広告を扱い、資格を持つ担当者がいる」ことの目安にはなります。一方で、あなたの会社の成約率や粗利まで見た運用をしてくれるかは、バッジからは分かりません。
バッジは入口の確認にとどめ、中身は7つの質問で確かめてください。
よくある質問
インハウス(自社運用)と代理店、どちらがよいですか?
社内に運用できる人がいて、1〜2つの媒体に集中するなら、インハウスも有力な選択肢です。複数の媒体の運用やLP・動画の制作まで社内でまかなうのは負担が大きいため、一部だけ代理店に任せる分け方もできます。
代理店を変えずに、今の運用を良くする方法はありますか?
あります。私たちがまずおすすめするのは、成約データの共有です。問い合わせのうち何件が商談や成約になったかを、月に1回、件数だけでも伝えてください。
代理店は「成約につながる問い合わせ」を基準に判断できるようになります。7つの質問を今の代理店に投げかけてみるのも有効です。
まとめ:状況別に、次にやること
| いまの状況 | 次にやること |
|---|---|
| 変えるか迷っている | 今の代理店に「原因の説明・改善策・振り返り」の3つを確認する |
| 候補を探している | 7つの質問の答えを並べて比べる。見積もりは総額と損益分岐の件数で比べる |
| 乗り換えが決まった | アカウントの所有者と管理者の権限を確認する。評価の時期と基準を先に決める |
補足と出典
- 7つの質問の答えの目安と、「2〜3か月」という見直しの時期は、運用代行をしている私たちの考えです
- 手数料の表は、説明のための架空の数字です。1件あたりの粗利は一定と仮定しています。実際には、成約率が変わると1件あたりの粗利も変わります
- 検索広告だけで予算を増やし続けると、増やした分のCPAは上がっていきやすいというのは、私たちの考えです
- 学習期間が何回のコンバージョン サイクル分かは、ヘルプの日本語版と英語版で書かれている数字が異なります(2026年10月時点)。月のコンバージョンが少ないアカウントほど、長くなりやすいと考えられます
- Googleは、従来の「オフライン コンバージョンのインポート」を使っている広告主に、改良版の「リードの拡張コンバージョン」への移行を強く推奨しています(リードの拡張コンバージョンについて)
- 検索語句レポートでは、検索数の少ない語句がプライバシー保護のために除外される場合があります
- Google Partnerの要件は変わることがあります。認定資格にはサービス分野ごとの条件もあり、上位の区分として「Premier Partner」があります
- Yahoo!広告 検索広告は、2026年4月1日から「LINEヤフー広告 検索広告」です(LINEヤフー for Business の告知)
- Google広告の仕様の出典(いずれもGoogle 広告 ヘルプ):スマート自動入札について、検索語句レポートについて、キャンペーンの学習期間の長さと、それに影響を与える要因、Google 広告アカウントへのアクセス権を管理する、Google Partner または Premier Partner のステータスを得る方法
今の広告運用を、第三者の目で確認しませんか
株式会社シンビは、福岡を拠点に、運用型広告を中心としたWebマーケティングを支援しています。運用の代行だけでなく、可能な範囲でインハウス化の支援もお引き受けしています。
「代理店を変えるかはまだ決めていない」「7つの質問に、自社の状況で答えるとどうなるかを知りたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。
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