※本記事は、運用型広告の支援を行う株式会社シンビが、自社の見解として作成しています。Google広告の検索キャンペーンを中心に、2026年10月21日時点のGoogle広告ヘルプにもとづいて説明します。
この記事のポイント
結論:損失率は「広告が出なかった理由の内訳」です。大きくても、すぐ直す必要があるとは限りません。次の順に考えます。
- CPAが許容CPAを超えているなら、損失率より先にCPAを直す
- 損失率を、取りこぼした回数と件数に直して、大きさを確かめる
- 「予算」が大きいなら、予算を足すか、成果の悪い配信を削る
- 「ランク」が大きいなら、費用の大きい広告グループの品質から直す。両方大きいなら、費用の増えない手段から始める
損失率は、何を表している?
インプレッション シェアは、広告が表示されてもよかった回数のうち、実際に表示された割合です。表示されなかった分は、主に次の2つの理由に分けて示されます。
- 損失率(予算):予算が足りずに出なかった割合。キャンペーン単位でだけ見られる
- 損失率(ランク):広告ランクが足りずに出なかった割合。キャンペーンと広告グループの単位で見られる
広告ランクは、検索のたびに、広告を出すかと掲載位置を決める評価です。入札単価・広告とページの品質・アセットの見込みの効果などから計算されます。
見る場所:[キャンペーン]の表で[表示項目]を開き、[競合指標]からインプレッション シェアと2つの損失率の列を足します。検索キャンペーンなら、頭に「検索広告の」と付いた列です。
「出せたはずの回数」には、入札単価が今の2倍なら出せたオークションは含まれうるが、10倍が必要なものは含まれないとGoogleは説明しています。そのため、損失率(ランク)は全部は取り戻せません。
見るときの注意
- 昨日の数字で判断しない:更新に1〜2日かかり、値も推定です。多少の変動は対処不要とGoogleも説明しています。直近の2日を外した、2週間以上で見ます
- 「コンバージョン数の最大化」では、損失率(予算)を当てにしない:1日の予算を使い切る設計の戦略なので、この列を使うことはGoogleも勧めていません。「コンバージョン値の最大化」も同じ扱いにし、予算を足すかは予算シミュレータで決めます
損失率が大きいと、まずいの?
損失率が大きいだけでは、問題ではありません。CPAが許容CPA(1件にいくらまで使えるかの上限)を超えたキャンペーンで表示を増やしても、赤字の件数が増えるだけです。その場合は、先にCPAを下げます。
CPAに余裕があるなら、損失率を回数と件数に直して、取りこぼしの大きさを見ます。
取りこぼした回数 = 表示回数 ÷ インプレッション シェア × 損失率
たとえば架空の歯科医院の、初診予約を取るキャンペーンの2週間が、CPA 5,000円(許容CPAは8,000円)、シェア60%、表示30,000回、クリック1,200回(率4%)、予約36件(率3%)だったとします。
取りこぼしの大きさの例(架空の歯科医院・架空の数字)
| 理由 | 損失率 | 取りこぼした回数 | 最大のクリック | 最大の予約 |
|---|---|---|---|---|
| 予算 | 25% | 12,500回 | 500回 | 15件 |
| ランク | 15% | 7,500回 | 300回 | 9件 |
CPAに余裕があるので、取りに行ってよい状況です。先に予算を足し、増えた分のCPAが8,000円以内かを確かめます。ランクは予算の後で、費用の大きい「インプラント」の広告グループから品質を見ます。
件数は上限の目安で、同じ率で予約になるとは限りません。増える分が小さいなら、急いで直す必要はありません。
医院名での検索と「歯医者 近く」などの一般の検索では、表示を取りに行く目的が違います。指名キーワードが混ざっているなら、分けて見ます。
関連記事:リスティング広告のCPA改善(CPAが許容を超えているとき)/指名キーワードの広告
「予算」と「ランク」、どちらから直す?
何%なら「大きい」かの線は、Googleのヘルプにありません。上の例のように件数に直して比べ、次のように決めます。
- 「予算」だけが大きい:予算から。広告ランクは足りていて、出す回数の上限だけが問題
- 「ランク」だけが大きい:ランクから。予算を足しても、オークションで負けたまま
- 両方大きい:費用の増えない手段 → 予算 → 入札の順。先に入札を上げると、クリック単価が上がって予算が早く尽きる
- 両方小さい:直さない。今の配信で取れる表示は、ほぼ取れている
費用の増えない手段とは、成果の悪いキーワードや地域を削る、アセットを足す、などです。予算と入札は一度に動かさず、片方を変えたら2週間を目安に見てから次へ進みます(件数が少ないなら長めに)。
目標値のある自動入札で、「予算」が大きいとき
目標アクション単価・目標広告費用対効果など、目標値に基づく入札戦略で「予算による制限」が出ているなら、足す前に、今の目標値が「その単価で件数が増えてよい水準か」を確かめます。2026年8月17日の入札の更新で、予算による制限を受け、目標値より効率よく成果を上げているキャンペーンは、目標値に向かって推移するようになったためです。
「ランク」が大きくても、直さなくてよいとき
目標値のある自動入札では、損失率(ランク)の大きさは、目標値に合わないオークションで入札を抑えた結果のこともあると私たちは考えています。CPAが目標どおりで件数も足りているなら、そのままでかまいません。直すときは、広告グループ単位の損失率(ランク)を費用の大きい順に並べ、取りこぼしが集中しているところだけを直します。
関連記事:リスティング広告の予算を増やす判断(予算を足した分のCPAの見方と、8月の入札の更新)
どうやって直す?
「予算」の損失を減らす
- 予算を足す:CPAに余裕があり、増えた分のCPAも許容内のとき
- 配信を絞る(キーワード・地域・時間帯):成果の悪い部分がはっきりしているとき。件数を増やしたいときは向かない
「ランク」の損失を減らす
- 広告の品質を直す:費用を増やさずに表示を増やしたいとき。結果が出るまで時間がかかる
- 広告アセットを足す:サイトリンクなどが未設定か、少ないとき
- 入札・目標値を緩める:成果の良い広告グループで、取りこぼしが大きいとき。「予算」も大きいときは向かない
- 目標インプレッション シェアで入札する:医院名など指名キーワードで、常に表示したいとき。獲得の効率を上げたいときは向かない
品質は、品質スコアの3要素(推定クリック率・広告の関連性・ランディング ページの利便性)のうち、「平均より下」のものから直します。
入札で直すなら、入札方式で動かすものが違います。
- 手動入札:取りこぼしの大きい広告グループ・キーワードの上限クリック単価を上げる
- 目標アクション単価・目標広告費用対効果:目標値を緩める(目標アクション単価なら上げ、目標広告費用対効果なら下げる)。成果が落ち着くまで2週間を目安に見る
- コンバージョン数の最大化など:入札を直接上げる設定はない。品質とアセットで直す
入札戦略のステータスが「制限付き」で、理由が「入札単価の上限」なら、設定した上限が低すぎるので見直します。
関連記事:品質スコアの上げ方/自動入札の学習期間(目標値を変えた後の待ち方)
直した後は、何を見る?
確かめるのは損失率ではなく、表示回数・件数とCPAです。曜日をそろえた2週間以上で、前後を比べます。
予算を足すと、「ランク」が増えて見えることがあります。予算で止まっていたオークションに参加すると、ランクで負けるものも含まれてくるためです。表示回数や件数が増えていれば失敗ではないと私たちは考えています。なお、期間中に一度でも予算を使い切った日があると、広告グループの表に損失率(ランク)は出ません。
何も変えていないのに「ランク」が増えたら、変更履歴 → 「品質スコア(履歴)」などの列 → オークション分析(競合の動き)の順に確かめます。
関連記事:オークション分析の見方
よくある質問
インプレッションシェアは何%を目指せばよいですか?
Googleは、目指す値を示していません。私たちは、医院名などの指名キーワードは高い割合を保つことを検討し、一般のキーワードはCPAが許容に収まる範囲で取れる分だけで十分と考えています。上部や最上部の位置の見方は、上部表示率・最上部表示率の見方で説明しています。
損失率(ランク)が0%にならないのはなぜですか?
競合の入札など、自分では動かせない要素も入るからです。0%を目指して入札を上げ続けると、クリック単価だけが上がります。
補足と出典
- 歯科医院の例は、説明用の架空の数字です。どちらから直すかの順番、手段ごとの向き不向き、「ランク」を直さなくてよい場合、評価の期間は、私たちの考えです
- インプレッション シェアの各指標は、データが少ないと「—」と表示されることがあります。検索パートナーのデータは含まれません
- 損失率(予算)は、レポート エディタでもキャンペーンのレポートにだけ表示されます
- 「入札単価を引き上げる」「予算を引き上げる」「ターゲット地域を減らす」「広告の品質を改善する」は、Googleがインプレッション シェアを高める方法として挙げているものです
- Yahoo!広告の検索広告は、2026年4月1日に「LINEヤフー広告 検索広告」に名称が変わりました(「LINEヤフー広告」プラットフォーム統合リリースについて)。この記事はGoogle広告の定義で説明しています。Yahoo!広告の損失率(予算)は入札価格やアカウント残高による損失も含む定義で、インプレッションシェアとクリックシェアについて【検索広告】(LINEヤフー広告 ヘルプ、2026年10月21日時点)によります
- 出典(いずれもGoogle 広告 ヘルプ):インプレッション シェアについて、広告ランクについて、インプレッション シェアのデータを取得する(英語版)、インプレッション シェアを向上させる、「コンバージョン数の最大化」による入札について、入札単価、予算、目標値のシミュレーションで掲載結果を推測する、検索キャンペーンの品質スコアについて、入札戦略のステータスについて、目標インプレッション シェアに基づく入札について、目標値に基づく入札戦略への変更
損失率の読み方を、第三者の目で確認しませんか
株式会社シンビは、福岡を拠点に、運用型広告を中心としたWebマーケティングを支援しています。運用の代行だけでなく、可能な範囲でインハウス化の支援もお引き受けしています。
「損失率が大きいと言われたが、予算と入札のどちらを動かせばよいか分からない」という段階でも、お気軽にご相談ください。
広告運用について相談する