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検索広告公開 2026.10.30

リスティング広告の予算を増やす判断基準|「増やした分のCPA」で上限を決める

リスティング広告の予算を増やしてよいかは、平均CPAではなく「増やした分のCPA(限界CPA)」が許容CPAに収まるかで決めます。増額を考える広告主向けに、上限の決め方、Google広告で余地を確かめる指標、上げ幅と評価の時期を解説します。

この記事を書いた人

シンビ 運用チーム

株式会社シンビで、広告の運用を担当しているチームです。

※本記事は、運用型広告の支援を行う株式会社シンビが、自社の見解として作成しています。すでに成果が出ている検索広告の予算を増やす判断を、Google広告を中心に、2026年10月2日時点のGoogle広告ヘルプにもとづいて説明します。

この記事のポイント

結論:予算を増やしてよいかは、平均のCPAではなく「増やした分だけのCPA(限界CPA)」が、1件にかけてよい上限(許容CPA)に収まるかで決めます。

  1. 上限になる許容CPAを決める
  2. 増やす余地があるかを確かめる
  3. 段階的に上げ、限界CPAで評価する
  4. 増やし切ったら、回し先を限界CPAで比べる

なぜ平均CPAではなく「増やした分のCPA」で見るのか

CPAは、コンバージョン(以下CV)1件あたりの広告費です。増やした分のCPA(限界CPA)は、次の式で出します。

限界CPA =(増額後の広告費 − 増額前の広告費)÷(増額後のCV数 − 増額前のCV数)

平均CPAは、増額前からの効率のよい配信と、新しく買った配信をならした数字なので、増やした分の効率が悪くても薄まります。たとえば広告費を1.2倍にして平均CPAが10%上がっただけでも、増やした分のCPAは元の2.2倍です。増やした幅が小さいほど、平均CPAのわずかな上昇が大きな悪化を意味します。計算には予算の設定値ではなく、実際に使った広告費を使います。

手順1:上限になる許容CPAを決める

予算は、限界CPAが許容CPA(1件のCVにかけても赤字にならない上限)を超える手前まで増やせます。許容CPAは、最も単純には次の式です。

許容CPA = 成約1件あたりの粗利 × 成約率

たとえば架空のパーソナルジムで、入会1件の粗利が30万円、無料体験の申込(CV)から入会する割合が15%なら、許容CPAは4.5万円です。このジムで、予算を段階的に増やしたとします。

表の「前の段階から増やした分のCPA」は、1つ上の行との差です。たとえば150万円から200万円の段階なら、増えた広告費50万円 ÷ 増えたCV9件 = 約5.56万円です。

予算を段階的に増やしたときの平均CPAと限界CPA(架空の数字。許容CPAは4.5万円)

月の広告費CV数平均CPA前の段階から増やした分のCPA粗利の見込み − 広告費
100万円50件2.0万円―125万円
120万円58件約2.07万円2.5万円141万円
150万円66件約2.27万円3.75万円147万円
200万円75件約2.67万円約5.56万円137.5万円
250万円80件3.125万円10万円110万円

200万円の段階で増やした分のCPAが許容CPAを超え、手元に残る額も減るので、このジムの止めどころは150万円です。一方、平均CPAは250万円でも3.125万円で、許容CPAの7割ほどです。平均CPAだけを見ていると、赤字の増額を2段階続けてしまいます。

関連記事:リスティング広告の代理店の選び方(手数料の差の考え方)

手順2:増やす余地があるかを確かめる

次に、「予算が足りずに表示できていない検索」がどれだけあるかを、2つの指標で確かめます。

  • インプレッション シェア損失率(予算):予算不足で、広告が表示されなかった割合
  • インプレッション シェア損失率(ランク):広告ランク(表示されるかと掲載順位を決める評価)の低さで、広告が表示されなかった割合

損失率の組み合わせと、次の一手

損失率(予算)損失率(ランク)次の一手
大きい小さい予算を増やす第一候補。段階的に増やす
小さい大きい増やしても表示は増えにくい。入札や広告の品質を見直す
大きい大きい予算と入札の両方が候補。片方ずつ変えて確かめる
小さい小さい表示の機会はほぼ取れている。回し先を検討する

「大きい」の基準は、Googleのヘルプでは確認できませんでした。キャンペーンが複数あるなら、「損失率(予算)が大きく、限界CPAが許容CPAより十分低い」ものから増やすのが合理的だと私たちは考えています。指名キーワード(社名での検索)は分けて見ます。

目標CPAの自動入札では、予算と目標値のどちらを動かすか

Google広告の「目標アクション単価」(一般に目標CPA)は、CVごとの単価は目標値を上下しても、全体では目標値と同等になるよう調整する入札戦略です。

入札戦略と予算の状態別に、主に動かすもの

入札戦略と状態主に動かすもの注意点
目標アクション単価/予算による制限あり予算。先に目標値を見直すその目標値の水準でCVを買い足す
目標アクション単価/予算による制限なし目標値予算を上げても消化されるとは限らない
コンバージョン数の最大化(目標値なし)予算予算に応じてCPAが動く。段階ごとに限界CPAを確かめる

1行目は、2026年8月17日の入札の更新を踏まえています。予算による制限を受け、実績が目標値より良いキャンペーンは、何も変えなくても配信が目標値に近づくので、増やす前に今の目標値が「その単価で増えても構わない」水準かを見直してください。

目標値は、許容CPAより低く置く

目標値を許容CPAちょうどにすると、平均が許容CPAに近づくまで配信が広がり、最後の増加分を許容CPAより高く買うことになります。私たちの考えでは、目安は「限界CPAが許容CPAに届く手前の段階の平均CPA」で、このジムなら150万円の段階の約2.27万円(許容CPAの半分ほど)です。比率はアカウントごとに違うので、今の平均CPAに近い値から始め、段階ごとに少しずつ上げます。

関連記事:品質スコアの上げ方(広告の品質の見方)/指名キーワードの広告(指名と一般を分けて見る理由)/自動入札の学習期間(目標値を変える幅とタイミング)

手順3:段階的に上げ、限界CPAで評価する

1回の幅:差が読める幅にする

CVの件数は偶然でも上下するので、増やす幅が小さすぎると限界CPAが読めません。増えた件数が少なければ判断を保留します。止めどころを過ぎるのが心配なら、上げ幅は抑え、比べる期間を2〜3か月に延ばすほうが安全だと私たちは考えています。

待つ期間:増額後は2週間を目安に待ってから比べる

Googleは、目標値のある入札戦略で予算を増やした後は、しばらく待ってから評価するよう案内しています(予算の変更では「学習中」になりません)。私たちの目安は、どの入札戦略でも2週間です。件数が少ない案件や、CVの計上まで日数がかかる商材は長めに待ちます。

前後で日数と曜日の並びをそろえ、その間はほかの設定を変えずに比べます。予算と目標値は別の日に変えます。

月の途中で増やすときは、費用の上限に注意する

Google広告のほとんどのキャンペーンでは、ある日の費用が1日の平均予算の2倍まで使われることがあり、1か月の上限は1日の平均予算の30.4倍です。月の途中で変えると、その月の上限は「それまでに使った額 + 新しい1日の予算 × 残りの日数(変更日を含む)」です。60万円を使い、残り10日で1日4万円にすると、上限は100万円です。社内で月の上限を決めているなら、着地を確かめてから増やしてください。

関連記事:自動入札の学習期間/Google広告の曜日・時間帯の配信(曜日で配信を止めている場合の予算)

手順4:増やし切ったら、回し先を限界CPAで比べる

損失率が「予算」も「ランク」も小さいなら、今のキーワードと地域の表示はほぼ取れています。回し先は、次の段階で増やす分の限界CPAどうしを比べて決めます。

予算の回し先と、判断の基準

回し先判断の基準
キーワードの拡大新しく広告が出た検索語句の費用 ÷ そのCV数が、許容CPAに収まるか
Yahoo!広告の検索広告Google広告と合わせた増分で限界CPAを計算し、Google広告を次の段階に増やした場合と比べる
LP(広告から最初に見るページ)の改善1クリックに払える上限は「許容CPA × CVR(クリックがCVになる割合)」。CVRが上がれば、払えるクリック単価も上がる
検索以外の広告媒体の管理画面のCPAではなく、全体の増分で計算した限界CPAで見る

このジムで、Google広告を150万円から200万円に増やした分のCPAは約5.56万円でした。代わりにYahoo!広告に30万円を使って9件増えたなら約3.33万円で許容CPAに収まるので、Yahoo!広告に回すほうが利益が残ります。

関連記事:Yahoo!広告の自動入札/Yahoo!広告とGoogle広告の違い/リスティング広告のCPA改善(打ち手を試す順番)/デマンド ジェネレーション キャンペーン(検索以外の広告の評価)

よくある質問

Google広告で、1日の予算の2倍を超えるとどうなりますか?

超えた分は請求されません。Googleのヘルプでは、費用が1日や1か月の上限をまれに超えても、超えた額は請求されないと説明されています。

Google広告の予算は、どこで変更しますか?

[キャンペーン]ページで、[予算]列の鉛筆アイコンを選び、新しい1日の平均予算を入れて保存します。月の予算なら、30.4で割った値が目安です。

まとめ:状況別に、次にやること

いまの状況次にやること
増やすか迷っている許容CPAを計算し、損失率の「予算」と「ランク」を見る
目標CPAの自動入札で、予算による制限を受けている先に、目標値が「その単価で増えても構わない」水準か見直す
1回にどれだけ上げるか決めたい差が小さいうちは保留。上げ幅を抑えるなら、比べる期間を2〜3か月に
増やしたらCPAが上がった件数がたまってから限界CPAを計算し、許容CPAを超えた段階の手前まで戻す
損失率が「予算」も「ランク」も小さい回し先を、次の段階の限界CPAで比べる

補足と出典

予算を増やす判断を、数字で一緒に確かめませんか

株式会社シンビは、福岡を拠点に、運用型広告を中心としたWebマーケティングを支援しています。運用の代行だけでなく、可能な範囲でインハウス化の支援もお引き受けしています。

「どこまで増やしてよいか分からない」「増やしたらCPAが上がり、戻すか迷っている」という段階でも、お気軽にご相談ください。

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