※本記事は、運用型広告の支援を行う株式会社シンビが、自社の見解として作成しています。Google広告とYahoo!広告について、2026年10月2日〜13日に確認した各社の公式ヘルプ・ポリシーにもとづいて説明します。
この記事のポイント
結論:競合の名前をキーワードにして出すことは、Google広告でもYahoo!広告でも禁止されていません。ただ、法律上の評価は別で、採算が合う範囲も狭いと私たちは考えています。出すなら、次の順に確かめます。
- 競合名で検索する人のうち、まだ比べている人だけに出す
- 広告文とLPで、相手の名前の使い方に気をつける(Yahoo!広告は特に)
- 「クリック単価 ÷ 許容CPA」で、採算が合うのに必要な申込率を先に出す
- 予算と止める基準を決めてから試す
競合の名前で広告を出しても、いいの?
どちらの媒体も、商標を理由に競合名のキーワード登録を制限してはいません。Yahoo!広告では、商標の使用制限の申請があっても、キーワードは対象外です。ルールが違うのは広告文です。
- Google広告:申し立てがあれば、直接競合する他社の商標を広告文に使うことは制限の対象。制限されると、通常、最終ページURLのドメインが同じ広告すべてで使えない。企業名を広告文に入れる義務はない(誤解を与える使い方は制限)
- Yahoo!広告:商標権者の申請が認められると、その商標を含む広告は掲載されない(商標と実質的に同一の文言も対象)。一方で、企業名のキーワードでは、タイトルか説明文にその企業名などと自社との関係を書く必要がある。また、他社名を使う場合も、リンク先に相手の企業や商品に関する十分な内容が必要
Yahoo!広告で、両立しなくなるとき
架空の英会話教室「つばめ英会話」が、競合「ひばり英会話」の名前で出すとします。Yahoo!広告の企業名のキーワードでは、「ひばり英会話と月謝を比べる方へ」「つばめ英会話の社会人コース」のように、相手の名前と自社との関係を示します。
ところが、相手の申請が認められて自社に使用制限がかかると(名指しされた広告主か、許諾された広告主以外のすべて)、その商標は広告文に入れられません。ほかに相手を示す名前がなければ両立せず、出すのは難しいと私たちは読んでいます。制限は、広告一覧に「制限ステータス」の列を出すと確かめられます。
法律上は、問題ない?
媒体のルールで制限されないことと、法律上問題がないことは別です。LINEヤフーは、入札について次のように説明しています。
よって、単に自身の登録商標を他者が入札しているという行為だけをもって商標権侵害は成立しません。
これは入札だけの説明で、広告文やLPでの名前の使い方によって評価は変わりえます。相手の名前を使うときや、相手から連絡を受けたときは、弁護士や弁理士に確かめてください。
競合名で検索する人の、誰に出す?
競合名で検索するのは、相手をほぼ選んだ人や今の利用者が中心です。広告費をかける価値があるのは、まだ比べている人だと考えます。つばめ英会話なら、検索語句を次のように分けます。
- 出す:「ひばり英会話 料金」「ひばり英会話 評判」「ひばり英会話 比較」(まだ比べている人)
- 入会の手順を示せるなら出す:「ひばり英会話 退会」「ひばり英会話 乗り換え」(やめるか考えている利用者)
- 試してから決める:「ひばり英会話」(名前だけ。選びかけた人と利用者が混ざる)
- 除外する:「ひばり英会話 ログイン」「ひばり英会話 電話番号」(今の利用者)、「ひばり英会話 講師 募集」(お客様になる人ではない)
決める前に、すでに出ていないかを検索語句レポートで確かめます。インテント マッチ(ヘルプでは「部分一致」とも表記)は、登録していない言い回しにも広告を出すことがあるからです。
関連記事:キーワードのマッチタイプの使い分け(インテント マッチの広がり方)/除外キーワードの設定方法(外す語句の決め方)/指名キーワードの広告は必要か(自社名に競合の広告を出された側の対応)
採算は、合う?
競合名で来る人はまだ自社を知らない人が多く、取れた件数の多くは上乗せになると私たちは見ています(一般キーワードや自社名の件数が減っていないかは見ます)。ただ、相手を選びかけた人が多い分、申込率(CVR)は低くなりがちです。そこで、先に必要なCVRを出します。
必要なCVR = クリック単価 ÷ 許容CPA
許容CPAは、入会1件に使っても赤字にならない広告費の上限です。つばめ英会話の許容CPAが3万円、「ひばり英会話 料金」のクリック単価が500円なら、必要なCVRは約1.7%です。一般キーワードのCVRが3%なら、その半分強で入会しないと合いません。まだ出していない語句のクリック単価は、キーワード プランナーの費用の見積もりで当たりをつけます。
自社名に出し返されたときの費用も足す
競合名に出すと、相手が自社名に広告を出してくることがあります。それで増えた自社名の広告費も、競合名の広告のコストです。
必要な件数 =(競合名の広告費 + 自社名の広告費の増加)÷ 許容CPA
つばめ英会話が競合名に月30万円使うなら、出し返しがなければ必要な件数は10件です。月20万円の自社名の広告費が3割(6万円)増えれば、12件になります。入札を上げずに受けると、費用ではなく自社名の件数が減る形で損が出るので、減った件数を必要な件数に足してください。出し返しは、自社名のキャンペーンのオークション分析で気づけます。
広告文とLPには、何を書く?
競合名で検索した人が知りたいのは相手との違いですが、見せ方はポリシーにも法律にも関わります。
- キーワードの自動挿入は使わない:「ひばり英会話」が広告文に入ってしまう。自動挿入の語も制限の対象だとYahoo!広告では明記されていて、Google広告でも同じ注意が要ると考えます。広告文は固定します
- 相手の名前を出して比べない:「ひばり英会話より月謝が安い」ではなく、自社の月謝を時点つきで示す。Yahoo!広告の比較広告の基準では、実証されていない事項や不公平な基準での比較は掲載できません。相手が劣ると示す表現は、事実と違えば不正競争防止法(第2条第1項第21号「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為」)の問題にもなります
- 相手のサイトに見せない:「ひばり英会話 公式」のような見出しにせず、自社名を先頭に置いて、別の教室だと分かるようにする
- LPは比べたい人向けに:トップページに送るだけでなく、月謝・時間帯・体験の流れをまとめたページに送る
Google広告なら、名前を入れずに「教室の月謝を比べたい方へ」のようにも書けます。ただ、品質スコアの要素の1つ「広告の関連性」が低く出ることがあると見ています。
関連記事:品質スコアの上げ方(3つの要素の見方)
どう試して、いつ止める?
予算・期間・止める基準は、結果を見る前に決めます。つばめ英会話(許容CPA3万円、月30万円)なら、次のように進めます。
- キャンペーンを分ける:競合名だけのキャンペーンにし、予算と報告を一般キーワードと混ぜない
- 出す語句:「ひばり英会話 料金」「ひばり英会話 比較」などをフレーズ一致か完全一致で登録し、ログイン・講師募集は除外する
- 予算の上限:必要な件数が30件になる額(3万円 × 30件 = 90万円)。月30万円なら3か月
- 途中で止める:10件分(30万円)を使って、ほとんど取れていないとき。10件分では良し悪しを言い切れないので、途中は止める判断だけに使う
- 90万円を使った時点:30件を大きく下回れば止める。大きく上回れば広げる候補。前後なら延ばさず、出し返しの費用を足した損益で決める
- 毎週見ること:自社名のオークション分析で、相手の重複率(同時に表示された割合)や上部掲載率(相手が上に出た割合)が上がっていないか
関連記事:Google広告のキャンペーンの分け方(分けるかどうかの基準)
よくある質問
競合から「当社の名前で広告を出さないでほしい」と言われたら?
まず、広告文とLPでの相手の名前の使い方を見直します。法的な主張を含む連絡なら、返答の前に弁護士へ相談してください。業界の付き合いなど、金額に出ないコストも判断に入れましょう。
競合名で出すつもりがないのに、広告が出ているのはなぜ?
インテント マッチのキーワードが、競合名を含む検索に広がっていることがあります。検索語句レポートで確かめ、出さないと決めた語句は除外キーワードに入れます。
補足と出典
- この記事は法的助言ではありません。商標権や不正競争に関わる判断は、個別の事情によって変わります(不正競争防止法 - e-Gov法令検索)
- 英会話教室の例、計算の数字、広告文の例は架空のものです。例の広告文で審査に通ることや、法律上問題がないことを示すものではありません。出し返しは起きるとは限らず、起きた場合の増え方も仮定です
- 検索語句の分け方、競合名の件数の多くを上乗せと見ること、CVRが低くなりがちなこと、Yahoo!広告で両立しないという読み、試し方の手順と判断の線は、私たちの考えです
- Googleの商標ポリシーの日本語版は翻訳で、措置は英語版の記述に沿って行われます。英語版では、審査の対象は広告内での使用で、LPだけの使用は対象外とされています。日本語版は「商標は、広告のランディング ページ内だけでなく、広告内でも使用される場合があります。」と訳されており、意味が異なります(2026年10月時点)
- Google広告の商標ポリシーには、再販業者や情報サイトなど、制限されない使い方の定めもあります
- Google広告の日本語版ヘルプは2026年10月2日、英語版の商標ポリシーとLINEヤフーのページは10月13日に確認しました
- Yahoo!広告 検索広告は、2026年4月1日に「LINEヤフー広告 検索広告」に名称が変わりました。この記事では旧称で表記しています(「LINEヤフー広告」プラットフォーム統合リリースについて)
- Google広告の出典:商標 - Google 広告ポリシー ヘルプ(英語版)、検索語句レポートについて、オークション分析レポートでパフォーマンスを比較する、検索キャンペーンの品質スコアについて、キーワード プランナーを使う
- Yahoo!広告の出典:2. 広告の関連性について、8. 比較広告、商標権者による商標の使用制限の申請について、広告文への商標の使用制限について(以上、LINEヤフー広告 ヘルプ)、検索広告における商標使用制限について、登録商標について(以上、LINEヤフー for Business)
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株式会社シンビは、福岡を拠点に、運用型広告を中心としたWebマーケティングを支援しています。運用の代行だけでなく、可能な範囲でインハウス化の支援もお引き受けしています。
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